医療用語・コードの標準化について

 ・傷病名・修飾語マスターの詳細についてはこちらをご覧ください。
 ・標準臨床検査マスターの詳細についてはこちらをご覧ください。

1 はじめに

 平成13年12月に厚生労働省が発表した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」では、「医療情報のIT化の促進」を重要課題の1つとして位置付け、その具体的方策として「医療用語・コードの標準化」を掲げています。
 一方、我が国の医療情報分野においては、レセプト電算処理システム、電子カルテシステム、オーダリングシステムなどがありますが、これらのシステムで利用されるマスターはそれぞれが独自に構築されてきたため、例えば、同一疾病や同一診療行為を表すマスターレコードであっても、マスター毎にコード体系が異なっており、また、傷病名等の表記も必ずしも一致していませんでした。
 そのため、保険請求のためのレセプト作成に当たっては、電子カルテコードからレセプト電算処理システム等の保険請求用コードへの変換を要するため、レセコンメーカー或いは医療機関独自にコード変換テーブルを開発したり、請求事務担当者が コード表等を参照しながら入力し直すといったことを行っており、「医療情報のIT化の促進」のためには、こうした問題を解決しなければならなかったのです。

2 医療用語・コードの標準化の方法

 標準化という観点だけから考えれば、恐らく我が国統一のマスターを構築し、関係者に使用を義務付ければ良いのでしょうが、既に各般において長年運用されているマスターを直ちに統一することは現実的ではありません。
 そこで「医療用語・コードの標準化」の方法として、レセプト電算処理システムマスター(以下「レセ電算マスター」という。)と主たる電子カルテシステムマスター(以下「電子カルテマスター」という。)との用語の統一とコードの対応付けを行うこととしました。
 標準化作業は、社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)及び(財)医療情報システム開発センター(以下「MEDIS-DC」という。)が連携しつつ、関係各方面の協力も得ながら進められています。

3 医療用語・コードの標準化の現状

 支払基金及びMEDIS-DC等によって標準化され、カルテから保険請求(レセプト電算処理システム等)までの一連のコンピューター処理を現在サポートできるマスターは「傷病名」、「医科診療行為(検査・手術・処置)」、「医薬品」であり、それぞれの標準化の現状は次のとおりです。

(1)傷病名マスター
 傷病名マスターは、グランドデザインに先駆けて改定作業が進められ、レセ電算傷病名マスターとMEDIS-DC提供の「ICD10対応電子カルテ用標準病名マスター第2版」との相互の病名の統一とコードの対応付けが行われ、平成14年6月に新たなレセ電算傷病名マスターと電子カルテマスター(電子カルテ用標準病名マスター「第2.1版」)がリリースされるとともに、現在も逐次メンテナンスが行われています。
 詳しくは傷病名・修飾語マスターをご覧ください。
(2)医科診療行為マスター
 レセプト電算処理システムでは、検査、手術、処置等に係る診療報酬点数情報は一括して診療行為マスターに収載しています。
 一方、電子カルテマスターは「検査」と「手術・処置」に分割されています。
 「検査」については、レセ電算診療行為コードと日本臨床検査医学会制定の臨床検査項目分類コード(以下「JLAC10」という。)を対応付けた「標準臨床検査マスター(電子カルテマスター)」が、また、「手術・処置」についてはMEDIS-DCにより、レセ電算診療行為コードとICD-9-CMコードを対応付けた「標準手術・処置マスター(電子カルテマスター)」が、それぞれMEDIS-DCのホームページから公表されており、逐次メンテナンスが行われています。
 詳しくは標準臨床検査マスターをご覧ください。
(3)医薬品マスター
 現在、国内で使用されている医薬品コードは、目的別に10種類を超えており、これらの中でも特に広く使用されているレセ電算医薬品マスターの医薬品コード、薬価基準コード、YJコード、JANコードのほか、これら4種類のコードに対応したHOTコードも収載した「標準医薬品マスター(電子カルテマスター)」がMEDIS-DCのホームページから公表されており、逐次メンテナンスが行われています。

4 レセ電算マスター及び標準電子カルテマスター導入のメリット

 独自のマスターを使用している場合、診療報酬改定時に変更箇所の分析や点数修正等のマスター変更作業に多大な労力と経費が必要になりますが、レセ電算マスターを導入すれば、当ホームページから無償でダウンロードできるうえ、これらの労力や経費が大幅に軽減できます。
 また、標準電子カルテマスターは、すべてMEDIS-DCのホームページ(http://www.medis.or.jp/)から無償でダウンロードできますので、レセ電算マスターと組み合せて使用すれば、カルテから保険請求までの一貫したコンピュータ処理が可能になります。



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